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リゾット ■071003 ┗【圧迫祭】「対象a」ver.リゾット~女が歌ってみた【番外編】 ■070924 ┗別ページ作成 ┗「対象a」ver.リゾット 【歌ってみた】、幻ノ影 【作ってみた・歌詞のみ】 Vocal off アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット) 【歌詞のみ】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm734383 アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット) 【歌詞のみ】※修正版 http //www.nicovideo.jp/watch/sm747824 アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット) 【ピアノ+英詞ver】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm944613 「対象a」ver.リゾット 【カラオケ】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm1059215 幻ノ影 【作ってみた・歌詞のみ】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm1101187 Vocal on アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット)歌ってみた http //www.nicovideo.jp/watch/sm739608 アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット) 【女が歌ってみた・再録】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm779287 アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット)歌ってみた http //www.nicovideo.jp/watch/sm924190 アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット)歌ってみた・再録 http //www.nicovideo.jp/watch/sm997786 暗殺者のネエロ[歌ってみた] http //www.nicovideo.jp/watch/sm856376 暗殺者のネエロ歌ってみた http //www.nicovideo.jp/watch/sm946082 暗殺者のネエロ歌ってみたbyおぐ http //www.nicovideo.jp/watch/sm989382 リゾットネエロ Deep in your heart(替え歌) ジョジョ5部 http //www.nicovideo.jp/watch/sm1028033 「対象a」ver.リゾット 【歌ってみた】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm1114147 【圧迫祭】「対象a」ver.リゾット~女が歌ってみた【番外編】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm1168943
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几帳面な使い魔-1 几帳面な使い魔-2 几帳面な使い魔-3 几帳面な使い魔-4 几帳面な使い魔-5 几帳面な使い魔-6 几帳面な使い魔-7 几帳面な使い魔-8 ジョジョ三大兄貴記念SS 几帳面な使い魔 記念SS
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白銀と亀な使い魔-1 亀と白銀な使い魔-1 白銀と亀な使い魔-2 亀と白銀な使い魔-2 白銀と亀な使い魔-3 亀と白銀な使い魔-3 白銀と亀な使い魔-4 亀と白銀な使い魔-4 白銀と亀な使い魔-5 白銀と亀な使い魔-6 白銀と亀な使い魔-7 白銀と亀な使い魔-8 白銀と亀な使い魔-9 白銀と亀な使い魔-10 白銀と亀の使い魔-11 白銀と亀の使い魔-12 白銀と亀の使い魔-13 白銀と亀の使い魔-14 白銀と亀の使い魔-15 白銀と亀の使い魔-16 白銀と亀の使い魔-17 白銀と亀の使い魔-18 白銀と亀の使い魔-19 白銀と亀の使い魔-20 白銀と亀の使い魔-21 白銀と亀な使い魔外伝 『亀ナレフは平凡無事に憧れる』 亀ナレフは平凡無事に憧れる-1
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その男は自分は死んだと思っていた。 確かにその男は死んでいた。 自分の大事な家族を庇い、その代償として生命を失った。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求めうったえるわ!我が導きに、答えなさい!」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、 自らの使い魔を呼び出すためにサモン・サーヴァントを唱えた。 ドッグォバアァン!! そして起こる 大 爆 発 「ま~た爆発しやがったよ」 「流石はゼロのルイズだな…イテテ」 「おい大丈夫か?」 「ああ、ありがとう」 そんな中ルイズは…観ていた。自分が爆破した場所を。 そしてその本来なら起こらないはずの爆発の爆心地には……男が倒れていた。 それを見た周りのメイジたちは、 「何だ、あれは?」「人間か?」「あの格好は、どう見ても平民…」「ああ…平民だね、間違いなく」 等と動揺しながらもその男を見て、そして感想を言っている。 「あんた、誰?」 爆発騒ぎを起こしながらも周囲に謝ることなく倒れている男に話しかけるルイズ。 その声で男は目を覚ました。 男はあたりを見回してみる。 「ここは、何処なんだ?」 目の前にいた女(ルイズ)に質問する 「質問を質問でかえすなあーっ!!私が『あんた、誰?』と聞いているんだッ!」 その女の返答には奇妙な迫力があったが男はその程度でビビるような奴ではなかった。 「おれの名前は、虹村形兆だ」 だが答えた。 To Be Continued ↓↓
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第一章 使い魔は暗殺者 中編 リゾットとルイズが歩いて城に戻ると、すでに次の授業は始まっていた。 ルイズは渋々ながら使い魔を引き連れて次の授業に出席しようとしたが、リゾットはそれを聞いてあっさりと首を振った。 「悪いが、仲間たちの様子を見に行きたい」 その言葉遣いにルイズはご主人様に対する礼儀がなってない! と叫んだが、リゾットは何処吹く風といった様子だったので、まあしょうがないわね、と許可を出した。 何しろ、これ以上遅れたら教師にどれだけ怒られるか分からない。 ルイズは近くを歩いていた黒髪のメイドに声を掛けると、リゾットを救護室まで案内することと寮の自分の部屋の場所を教えるように言った。 ルイズと同じ年頃のメイドはそれを礼儀正しく承ると、リゾットを連れて救護室へと向かった。 話は少し遡る。 まだリゾットとルイズが草原を歩いている頃、コルベールによって運ばれた六人のうちの一人が目を覚まそうとしていた。 トリステイン学院の救護室はかなり広い。 戦争が起きた場合、この学院も砦として活用されるので、大勢の兵士を収容するためなのだが、平和なときは無駄な広さである。 しかし、今はコルベールが連れてきた六人の奇妙な平民たちが眠っていた。普段使用しないベッドにもシーツを敷き、布団をかけて昏々と寝ている。 水のトライアングルメイジである治療師は全員に外傷が無いのを確認し、目が覚めたときの説明役のために椅子に座る。 地方の小貴族の三男坊だった彼は、一応貴族ではあるが、領土は持ってない。 領土がないということは、職が無いということなので、働かなければいけない。 けれど、この職が中々見つからない。実力の無いメイジだと門戸は狭いし、やっと就職できたとしても給料は安い。 そのせいで危険だけれども金になる傭兵や泥棒などになるメイジもいる。 国はそんなメイジを貴族の恥さらしと呼んで必死になってとっ捕まえようとしているが、そんなことをする前に給料上げた方がいいんじゃないのか、と彼は思っている。 ちなみに彼は水のトライアングルであったし、治癒魔法に優れていたのでけっこう門戸は広かった。 そんな中でこの学院の治療師を選んだのは年老いても出来そうな仕事だったからだ。それに、子供たちと触れ合う事も楽しかった。 そんな彼も六十の半ば。そろそろ退職時期かと考えていた。けれど後任の治療師が来ないので今に至る。 (オスマン学院長もそろそろ誰か採用してくれんかのー。この歳だと患者をベッドに寝かせるのも一苦労なんじゃ) コルベールが手伝ってくれたからどうにかなったものの、六十代の老人には少々骨の折れる仕事だった。 何しろ全員屈強な男たちだ。一人だけ女のような奴がいたが、しっかり筋肉はつけているようで、中々持ち上がらなかった。 (にしても、奇怪な格好だわ。最近の平民の間ではこんな服が流行っとるのかの。見たことの無い材質もあるようだし……。特にあの片目を隠すのは最先端流行ファッションとかいうやつかの?) 治療師は一番奥のベッドに寝ている男に視線を移す。 最初は女だと思った平民だ。 ちゃんと見ると男だと分かるのだが、他のがっしりとした骨格の男たちに囲まれると、アレ? となる。 奇妙な対比である。 しかし、彼らが運ばれてからすでに三十分ほど経過しているが、誰も起きない。 治療師は少し退屈してきたので、自室から本でも持って来ようかと腰を上げた。 と、そのとき、 「……う……うぅ……?」 眠っている一人が僅かな唸り声を上げた。 見れば一番奥のベッドで横になっていた妙な目隠しをつけた男がもぞもぞと動いている。 治療師は驚き、彼にしては早いスピードで側に近寄った。 「おお、目が覚めたかの?」 枕に顔を擦りつけ、ごにょごにょと何かを口にしている男に、治療師はそう尋ねた。 「…………ん? 何だ、ここは……。オレはいったい…………はっ、蛇だ! 蛇が!」 すると、声に反応して目を開けた男は突如として上体を起こして叫んだ。 治療師はそれを避けようとしてひっくり返りそうになったが、後ろの壁に手をついて何とか体を支える。 「お、落ち着きたまえ。ここに蛇は居らんよ。ここはトリステイン魔法学院の救護室じゃ」 「って、ここは駅じゃない? テルミニ駅にはこんな石で出来た部屋はないはずだ……。 ということは、何者かに運ばれたという事か? ブチャラティの奴らではないな……。 ボスの配下か?」 が、男は治療師の声が聞こえていなかったらしい。 ブツブツと独り言のような声で早口に何かを喋っていた。 治療師はこの平民が『サモン・サーヴァント』で呼び出されたことを思い出して、男の混乱に納得する。 そうして、もう一度声を掛けた。 「ここはトリステイン魔法学院だよ。 君たちは生徒の『サモン・サーヴァント』によって呼び出されたんだ。 ここまではミスタ・コルベールが魔法で運んできてくれたんだよ」 ぴくっ、と男の肩が揺れた。どうやら今度はちゃんと耳に届いたようだ。 治療師はこれで一安心と息を吐きかけて、 「トリステイン魔法学院? 『サモン・サーヴァント』? 魔法で運んだ? …………どういうことだ? 答えろ! お前は誰だ?!」 ぎょっとした。落ち着くどころか益々興奮した男が治療師の胸倉を掴んで喚く。 だらだらと汗を流して、眉は吊り上がり、目は爛々と輝き、唇の端は捲りあがっている。そのあまりの剣幕に治療師はひぃっと、小さく悲鳴を上げた。 怖すぎる。左目だけがこちらを睨んでいるのも怖い。 杖は職務机の脇に立てかけているので魔法を使うことも出来ない。 「答えろって言ってるだろ?! ここは……、ここは……、魔法が存在する世界なのかッ?!」 「…………………………………………………………………… ……………………は?」 ああ、わしの人生オワタと、心の中で始祖ブリミルに対する祈りの言葉を唱えていた治療師は、 続いてとても嬉しそうに発された間抜けな質問に、心底気の抜けた声を出した。 プロシュートはぼんやりとした気持ちでどこかに立っていた。どこかは分からない。 というより、足に何かが触れている感じがしない。 黒で塗りつぶされた空間の中に、曖昧な感覚のまま立ち尽くしていた。 自分は死んだはずだ。と、プロシュートは思った。 ブチャラティと戦い、列車の外に飛ばされ、ブチャラティの策略にはまり落とされた。 それでもペッシを援護するために車輪に捕まり、ザ・グレイトフル・デッドを使っていたが、 段々意識が薄れていきとうとう…………途切れた。 ――ペッシは娘を手に入れられたのだろうか? メローネとギアッチョはどうしているのだろうか? リゾットはボスを倒せたのだろうか? 残された仲間の事が気に掛かるが、プロシュートには確かめる術も無い。 ただ、この漆黒の闇に囲まれていることしか出来ない。 それにしても、ここはどこなのか。天国でも地獄でも無いことは確実だが。 死後の世界とはこういうものなのだろうか。 何もすることが無いので、プロシュートはこの場所について考える。 けれど、すぐに堂々巡りするだけだと気付いて、別のことを考えようとした瞬間、 ぐいっと何かに引かれる感触がした。 ――何だ? プロシュートは錆び付いた歯車のように働かない思考で呟いた。 その間にもプロシュートはぐいぐいと引っ張られていく。 上か下かは分からないが頭の方向へと、何かがプロシュートを運んでいくのを感じる。 それと同時にプロシュートを囲っていた闇が薄くなっていった。 頭上から光が射してきたのだ。 それは瞬く間にプロシュートの周りの闇を払うと、さらに輝きを強くする。 ――くっ、目が! プロシュートは反射的に顔を庇った。 そうして、あまりの眩しさに目が開けられなくなったとき、目が開いた。 「……か! ディ・モールトッ! ディ・モールトッ! よいぞぉッ!」 目が覚めた瞬間、プロシュートは自分がベッドに寝ていることに気付いた。 白い、清潔そうなシーツだ。あまり使われて無いらしく、生地は少し硬い。が、手触りはよかった。 「…………またメローネがゲームをやってるのか。 普段は冷静で頭脳派なんだが、ジャッポネーゼが絡むと途端に人が変わるからな……。 それがなけりゃあイイ奴なんだが……」 起き抜けに聞こえたメローネの歓声から、ここがチームの家だと判断したプロシュートは 二度寝をしようともう一度毛布を頭から被り――、 「ちょっと待てぇぇぇぇぇッッッッ!!!!! これはどおぉぉいう事だあぁぁぁぁぁッッッ!!!!」 有らん限りの音量を振り絞って叫んだ。 そうして、それを耳にした残りの仲間たちが、 「なんだ?! プロシュート! 敵か?!」 「おいおい、プロシュートォ。いきなり叫ぶなよ。煩いだろぉ」 「プロシュート兄貴! なんかあったんですかい?!」 「うっせぇぇなぁプロシュート。オレは眠いんだ。起こすなよ」 と、プロシュートとの関係がよく分かる言葉を発してくれた。 ホルマジオとペッシは非常事態だと思い、勢いよく上体を起こした。 イルーゾォとギアッチョは耳を塞いで眠る気満々の姿勢だ。 そんな二人の反応――ホルマジオとペッシは飛び起きたのでよしとする――にプロシュートはギアッチョよりも盛大にブチギレた。 「これが叫ばずにいられるかぁッ!!! なんでオレは……オレたちはここに居るんだッッ?!! オレたちは……それぞれに別れてブチャラティたちを追っていたはずだ!!!」 その言葉に、ベッドの上に居た六人は、この状況の異常さに気付いた! 「そうだ! オレは……ナランチャの野郎に殺されたはずだ!」 「オレはあの三人と戦って変なウイルスに……。 クソッ、もう少しで鍵を手に入れることが出来ていたのによぉ!」 「お、オレは兄貴の仇を取ろうとしてブチャラティにバラバラにされたはずなのに……。 な、なんでこんなところに?」 「オレは……、ミスタの野郎を殺そうとして、新入りのヤツに殺された……。 クソクソッ! あと一歩だったのによ!」 「オレはブチャラティを列車から落とそうとして逆に落とされた。 最後の力でザ・グレイトフル・デッドを使ったが……。駄目だったと言うわけか」 五人はベッドから飛び降りると、輪になって互いに自分たちが失敗したときのことを語り合った。 そして、全員が語り終わると同時に、部屋に沈黙が落ちる。 自分たちは負けた。それならばリーダーは? 数少ない情報でボスを倒せたのだろうか。それとも、死んでしまったのか。 「…………とにかく、なんでオレたちはこんなところにいるんだ? 全員、別々の場所で死んだっていうのに、こんなところに揃ってるのはおかしいだろ」 まるで通夜か葬式のような雰囲気になった気分を吹っ切るためにプロシュートは強引に話を切り替えた。 最初に気付いたせいか、当初の驚愕は比較的治まっていた。 混乱して喚いていても、任務の失敗を思い出し沈鬱としていても、意味は無い。 今やらないといけないことは、この状況を把握してリーダーのところへ帰ることだ! 五人は戸惑い揺れていた瞳に決意と覚悟を宿すとぐっと表情を引き締める。 そうして、互いの顔を見合わせた――ところで、メローネがいないことにようやく気付いた。 「おい、メローネのヤツはどうした?」 「まさかあいつだけここに来ていないとかいうオチじゃねーよな」 「そ、そんな……。メローネだけ居ないなんてこと……」 「チェッ、あいつだけ仲間はずれってことか?」 「いや、オレはあいつの声で目が覚めたんだ……」 仲間が一人居ない。そのことに妙な不安を感じて四人は顔を見合わせる。 が、一人プロシュートだけは確信をもって周りを見渡し……、 「おお! すごいぞ! こんなことも出来るのか!」 「ほっほっほっほっ。 これは基本の基本である『錬金』で、位が高いメイジならさらにすごい事も出来る。 わしはトライアングルメイジの中級クラスぐらいの実力だからそうはできんがな。 それに、『錬金』を得意とするのは土のメイジだから水のメイジであるわしはあんまり使用せん」 「なるほど、なるほど。相性というものだな? ふむう……しかし魔法というのは貴族の血を引かないと使えないのだろう? それなのに全てのこういった作業を魔法だけで行っているのか?」 「うむ。メイジは数が少ないからね、非効率ではある。 それに、こういった仕事は給料が低い事もあって専門的に行うメイジはほとんど居らん。 自分が必要だと感じたときに自分が必要な分だけ作るというのがメイジの基本になっとる」 和気藹々と語り合うメローネと、黒いローブを纏った変な老人を見つけた。 こちらがすごい覚悟をした後で、少々盛り上がっていたところなので、そのギャップはかなりすごかった。 どれくらいすごいかというと、 シリアスなシーンでスマイル全開でタップダンスを踊るリゾットを目撃してしまった! ぐらいの衝撃である。 「……………………………………………… ………………………………………………」 「……………………………………………… ………………………………………………」 「……………………………………………… ………………………………………………」 「……………………………………………… ………………………………………………」 「……………………………………………… ………………………………………………」 さっきとはまた違った意味で不穏な空気が五人を包む。 ペッシは、どこからともなくゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴという音や、 ド ド ド ド ド ド ド ドという音が聞こえてきた気がした。 なんだか周りに居る仲間や兄貴の顔が大変な事になっていっている。 反対に自分はどんどん脂汗を流しているような気がしてきた。 (プロシュート兄貴ィィ~~~~~ッ。目がイってるぜ~~~~~ェェッッ) ペッシは後退る。ブチャラティとの戦いでマンモーニから脱却したとはいえ、 まだまだ経験の浅いひよっこでしかない彼には、この本物たちの放つ気配は重い。 「なるほど! なるほど! ディ・モールト! ティ・モールト! よく分かったぞぉ! だからこそ貴族は平民を支配できているのだな! そういった科学技術を独占する事で!」 「そうとも言えるな。平民には鉄を精製したり火の秘薬を作ったりすることはできん。 ところでカガクとはなんなのだ?」 「あっ! あっ! それは秘密だな。 オレたちにとって重大な秘蘊(ひうん)だからだ。タダで教えるわけにはいかないものだ」 そんな彼らとは正反対に、メローネは至極楽しそうに会話を続けている。 ああ、こんなに楽しそうなメローネはベイビィ・フェイスの息子を操作しているときか、ジャッポネーゼ絡みのときだけだ。 そう、老人と語り合う彼は、とても、とても、とても――――幸せそうであった。 ブッチィィィィ―――――z______ンッ!!!!! その瞬間、何かが切れる音をペッシははっきりと耳にした――と思った。 「めぇぇぇぇぇぇろぉぉぉぉぉぉねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ペッシを除く全員が、声を揃えて怒鳴る。 あまりの大音量に毛布が浮かび上がった。枕も宙に浮く。ベッドも床から足を離した。 地球のギネスブックには、『閉店だ!』と叫んだ酒屋の亭主が窓ガラスを割った記事があるが、 そのレベルの大声である。ローブを着た老人は漫画のように飛び上がった。 しかし、メローネはふんふんと鼻歌を歌いだしそうなくらいの上機嫌な空気を撒き散らしつつ、 「オマエたち起きるのが遅いな。寝てばっかりいると脳が溶けるぞ」 と、のたまった。 ――ちなみにそれに対するプロシュートたちの返答は――スタンドでの容赦ないオラオララッシュであった(人、これを自業自得と言う!)。
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場面はあくまで無情に過ぎる。彼らの発言から、あれから二年の月日が流れ去ろうとしていることがわかった。 リゾット達のチームは、あの事件以来まさに首輪がつけられたような状態になっている。 ギアッチョの眼を通して、彼らに常に何人もの監視がついていることにルイズも気付いていた。 誰も口には出さないが、彼らの中ではどんどん絶望と諦念が大きくなってきている。 それが彼らの一つ目の変化だった。そして二つ目の変化は、チームに新入りが入ったことだった。 ペッシという名のその新入りは、その物腰から察するにおそらくはまだ少年の域を脱しない年齢の男で・・・ おそらくというのは彼には首と呼べる部分がどうにも確認出来ないため輪郭で年齢を判断しにくいからなのだが、とにかく彼はスタンド使いで、その才能を買われてリゾットの暗殺チームに配属されたらしい。 しかし彼は生来の気の弱さで、いつまで経っても見習いの域を脱しないのだった。彼は今、アジトの地べたに座らされてプロシュートに説教を喰らっている。 「プロシュートの奴・・・すっかりペッシの教育係みてーになってるな オレはてっきりお前の出番かと思ってたがよォー」 椅子に腰掛けたイルーゾォはそう言って隣に座るギアッチョに首を向けた。 「ああ? オレは他人に説教くれてやるような人間じゃあねーぜ」 両足をテーブルに投げ出すと、ギアッチョはそう言って鼻を鳴らす。 「説教なんてのは他人を気にかける心のある奴がするもんだからな・・・」 オレはそんな出来た人間じゃあねえと自嘲気味に笑って、ギアッチョはペッシに眼を向ける。イルーゾォはそんなギアッチョからすっと目線を外すと、 「オレはそうは思わないがな」 と冗談めかした笑いに乗せて呟いた。プロシュートとペッシを見ていた彼にその言葉は届かなかったようだが、彼女に・・・ルイズにだけはしっかりと聞こえていた。 ――わたしも・・・そう思うわ イルーゾォ・・・ ギアッチョは自分やキュルケ達を幾度となく怒ってくれた。ルイズは気付いている。それは教師達のようなゼロの自分への嘲りを含んだ怒りなどではない、人を侮辱するところのない真の怒りだった。 そしてそれは、合図のノックを足音代わりにやって来た。イルーゾォが開けた扉から入ってきたリゾットはまず周囲を見渡し、そこに全員が揃っていることを確認してから―― 「ボスに『娘』がいるという情報が入った」 自らの口で、終焉の開幕を告げた。 彼らがどんな反応をしたか、いちいち記す必要があるだろうか?ソルベとジェラートの仇を討つ為、己とチームの誇りの為、そして自分達が頂点に立つ為・・・彼らは命を賭けると『覚悟』した。 ――ルイズは奇妙な浮遊感を感じて周りを見る。自分の視点がどんどん上昇して行き、そして彼女の精神は蝉が羽化するように、徐々に・・・そしてやがて完全にギアッチョから離脱した。 おかしい、とルイズは感じた。彼女はこの夢はギアッチョが見ている彼の過去だと考えていたが、しかしそれではこの光景は一体どういうことだ? ブルドンネ街よりも広い、黒っぽい地面の大通り。両脇には見たこともないデザインの建物が立ち並び、その路傍には2.5メイル前後ほどの恐らく鉄製のオブジェがまばらに点在し・・・そしてその内のいくつかが派手に炎上している。 いつの間にか彼女はそれを上空から眺めていた。 上空?ギアッチョはレビテーションもフライも使えはしないはずだ。ならばこの視点は、一体誰のものだ? どういうことかと考え始めたルイズの思考は、直後彼女の視界に飛び込んできた情報によって綺麗に吹き飛んだ。 ――ホルマジオ・・・!! 炎上する大通りの真ん中に立っているのは、他ならぬホルマジオだった。 血塗れの顔と身体は炎に焼け爛れ、思わず眼を背けたくなるほど痛々しい姿になっている。1メイルほどの距離を開けて、彼はルイズと同年代ほどの背格好の少年と対峙していた。 「来い・・・・・・・・・ナランチャ・・・・・・・・・」 ホルマジオは少年に向けてそう言い放ち、そして数秒の沈黙が走り。 「『リトル・フィィィーート』!!」 「うおりゃあああああっ!!」 ――早撃ちの軍配は、少年に上がった。 「しょおおがねーなああああ~~ たかが『買い物』来んのもよォォーー 楽じゃあ・・・なかっただろ?え?ナランチャ・・・」 ホルマジオは二、三歩よろよろと後じさるとなんとか言葉を吐き出し、 「これからはもっと・・・・・・・・・ しんどくなるぜ・・・・・・てめーらは・・・・・・」 最期にニヤリと笑いながら、豪快な音を立てて倒れた。 ――始・・・まった・・・ 彼らの平穏を、ルイズは出来ればずっと見ていたかった。だがもう遅い。 彼らの死は今始まった。夢であるが故にルイズは眼を覆うことも耳を塞ぐことも出来ず、そしてそんな彼女を嘲笑うかのようにルイズの夢は次の場面を映し出す。 どこかの遺跡だろうか。あちこちが破損し壊落している石造りの建造物、そこにイルーゾォはいた。彼は敵のスタンドに首根っこを掴まれ、石壁にその身体を押し付けられている。ルイズの意識が彼を認識した直後、 「うわあああああああああああ!!」 恐怖一色に染められた断末魔を上げて、イルーゾォは見るも無残に「溶けて」死んだ。 ――いやぁああぁああッ!! ルイズは誰にも届かない声で叫ぶ。どうして、どうしてこんな殺され方をしなければならなかった?彼は確かに暗殺者だった。 だけど彼の心にはいつも仲間達への想いがあった。 彼は決して、このような哀れな死を遂げるべき外道などではなかった――! あまりにも残酷なイルーゾォの死に様に、しかしルイズが心の整理をつけるより早く。彼女を嘲笑うかのように、場面はあっさりと次へ飛んだ。 車輪のついた、長方形の長大な箱。プロシュートはその箱と車輪の隙間に引っかかるようにして横たわっている。 全身からはおびただしい量の血が流れ、その片足は有り得ない方向にひしゃげていた。 そして彼に重なって横たわるプロシュートのスタンドは、その指が、身体が、頭が、止まることなく崩れ続けている。誰がどう見ようが、瀕死だった。 「栄光は・・・・・・」 プロシュートはうわ言のように言葉を紡ぐ。 「・・・・・・おまえに・・・ ・・・ある・・・・・・ぞ・・・」 彼は正に死のその間際まで、ペッシのことを忘れなかった。「オレはお前を見守っている」と、彼はそう言った。 瀕死のプロシュートには、スタンドの発現は恐らく相当身体に負担をかけているはずだ。しかし一人戦うペッシの為に、 そしてチームの栄光の為に、彼は決してスタンドを解除しなかった。 だが、ペッシは―― 「このままで・・・・・・・・・・・・ガブッ・・・」 口から大量に血を吐きながら、彼は己を重症に追い込んだ男を睨む。 「済ませるわけにはいかねえ・・・・・・・・・」 ペッシの手には、拳よりも少し大きな程度の亀が掴まれていた。 どうやら男にとって相当に大事なものらしいそれを殺すことで、ペッシはせめてもの意趣返しをするつもりらしかった。男がペッシを見据え、 「堕ちたな・・・・・・ただのゲス野郎の心に・・・・・・・・・・・・!!」 そう言うと同時に、ペッシは亀を振りかぶり―― 「何をやったってしくじるもんなのさ ゲス野郎はな」 一瞬の駆け引きの後、男の無数の拳撃を受けてペッシの身体はバラバラに分解されて吹っ飛んだ。そしてプロシュートは偉大に、ペッシは惨めに。 二人は殆ど同時に、だがその『誇り』に天と地ほどの差を空けて死んだ。 ルイズはもはや声もなく彼らの死を見つめる。己の心をひとかけらでも言葉にすれば、全てが堰を切って溢れ出しそうで。 彼女は震える心を必死で抑えて、動かない眼で彼らを見つめ続けた。 作業的な間隔で、場面は次に移る。ルイズの眼前に新たに映し出された 場所は、どうやら先ほど見た長く大きな箱を収容する施設であるようだった。 収容された箱から出てきたメローネの、 「聞こえてるぜギアッチョ!」 という言葉にルイズはビクリと反応する。ギアッチョの名前は、今最も聞きたくなかった。彼が死ぬ場面を見てしまうなど、ルイズにはこれ以上ない拷問である。 しかし彼に先んじて命を落とす運命にあるのはメローネのようだった。 ギアッチョと会話をしているらしい彼に、ボトリと焼け焦げた蛇が落ちる。 スタンドの性質上、彼は常に安全な場所にいる。追われる身である「奴ら」が自分の位置を把握することなど不可能、ましてや攻撃を受けることなど有り得ない――そう油断していた彼の肩の上に、いきなり敵意を剥き出しにした蛇が落ちてきたのである。 彼が無様に取り乱すのも無理からぬことであった。 「あの『新入りの能力』ッ!おれのベイビィ・フェイスの残骸をひいいいいいいいいいいいいッ!!」 彼は絶叫し、そしてその大きく開いた口から覗いた舌に焼ける毒蛇は喰らいついた。 ――・・・・・・・・・もう・・・・・・やめて・・・ 一体誰に言えばいいのだろう。分からないままに、ルイズは言葉を絞り出した。 残った7人の内、5人が死んでしまった。たとえリゾットがボスを倒したとしても、もうあのアジトに彼らの喧騒が戻ることはない。二度と。永久に。 ――お願いだから・・・もうやめて・・・! あらゆることが手遅れであると知りながら、ルイズはもはや過ぎ去った残像に、虚しく呼びかけ続けた。 そして彼女の夢は、とうとう彼の使い魔を映し出す。 ――・・・ギアッチョ・・・!! 粉々に破壊された像のそばを、運河が流れていた。そのほとりに、白銀のスーツを着た男が立っている。つま先から頭までを余さず覆うそのスーツから覗く顔は、紛れもなくギアッチョのものだった。 「とどめだッ!ミスターーーーーーーーッ」 ギアッチョがそう叫ぶと同時に、彼に対峙していた男の全身から血が吹き出した。 ミスタと呼ばれた男はしかし、大きく仰け反りながら呟く。 「ああ・・・確かに『覚悟』は出来たぜ・・・ジョルノ」 「見ッ・・・・・・見えねえ・・・・・・・・・ 血・・・血が凍りついて・・・固まっ・・・!!」 ミスタの血しぶきが顔面にかかり、それは一瞬で凍結してギアッチョの視界を奪った。 ドンドンドンドンッ!! ミスタがかざした鉄の器具が火を噴く。どうやらあれは小さな銃のようだ・・・が、ルイズにそんなことを気にしている余裕はなかった。 前が見えずにヘルメットを引っかいている間に、ミスタの銃撃によってダメージこそないもののギアッチョはどんどん後方へ押されて行き、とどめの一発を足に喰らって彼は全体重を掛けて後ろへ仰け反り―― ドスッ!! 彼の延髄に、槍のように彫刻された鉄柱が突き刺さった。ルイズは思わずひっと声を上げそうになるが、幸いにも致命傷には至らなかったらしく、数分後には死ぬのだと分かっていつつも、彼女はほっと胸をなでおろした。 「おまえ・・・このオレに・・・・・・ 『覚悟』はあんのか・・・と・・・ 言ったが見してやるぜ」 そう言ってミスタはギアッチョを見据える。今にも失血死しそうなほどに血に塗れた身体だが、その眼光だけは獣のようにギラついていた。 「ええ・・・おい 見せてやるよ」 ようやく前が見えるようになったギアッチョは、ミスタの姿を見た瞬間彼の意図に気付いた。 「ただしお前にもしてもらうぜッ!! ブチ砕かれてあの世に旅立つってェェ覚悟をだがなああああああああ~~~~~ッ!!」 「やばい・・・こいつを引っこ抜かなくてはッ!!」 野郎、このままオレを死ぬまでのけぞらせる気だッ!ギアッチョは必死に鉄柱に手を伸ばすが、 ガァーン!! ミスタの銃弾によってその手は簡単に弾かれる。そしてミスタの更なる連射によって、ギアッチョの身体はどんどん仰け反って行く。 「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」 しかし、それと同時に彼の放った弾丸が彼自身にどんどん跳ね返り始めた。 「突っ切るしかねえッ!真の『覚悟』はここからだッ!『ピストルズ』ッ!てめーらも腹をくくれッ!!」 跳弾によってミスタの身体は至る所が弾け始めるが、彼は構わず銃を乱射する。 「おおおおおおおおおおおおおおお!!」 そして、ミスタがついに崩れ落ちたその瞬間、ギアッチョの首から大量の血が吹き出した。 ――ギアッチョ!! ルイズは耐え切れずに叫ぶ。しかしギアッチョはギリギリのところで生きていた。 「違・・・う・・・な・・・ ・・・ガブッ! 『覚悟』の強さが・・・・・・ ・・・・・・『上』・・・・・・なのは・・・ オレの・・・・・・方だぜ・・・グイード・ミスタ・・・」 瀕死の状態で、ギアッチョはなんとかそう口にする。 「ここまで・・・オレを追い込んだのはミスタ・・・ 敬意を表して・・・ やる・・・だが・・・・・・今度・・・覚悟を決めてギリギリのところで 吹き出す『血』を利用するのは・・・ オレの方だ・・・ ミスタ」 そう言ったギアッチョの後頭部は、吹き出した血が既にガッチリと凍って完璧なストッパーになっていた。その直後、未だ宙を舞っていた最後の弾丸がついに完璧な角度で跳ね返り―― 「頭にッ!勝ったァーーーーーッ!!」 ミスタの額に突き刺さった。 「!! う!? 傷が・・・!?」 しかしその瞬間、額の弾痕は完全に消え去り 「な・・・・・・!!」 いつのまにか、ミスタを抱えてその後ろに金髪の少年が立っていた。 「ミスタ・・・ あなたの『覚悟』は・・・この登りゆく朝日よりも明るい輝きで『道』を照らしている」 「なんだってエエェェェエエェ!!?」 グシャグシャグシャドグシャアアッ!!! 「うぐええッ!!」 ズン!!と鉄柱がギアッチョの喉を突き破り。彼は万感の無念と己を打ち破った彼らの『覚悟』へのひとかけらの賞賛と共に、事切れた。 ――あ・・・あぁぁああ・・・ッ!! ギアッチョが『覚悟』というものに拘る訳を、ルイズは理解した気がした。 しかし今ルイズの中に渦巻いている果てしない悲しみは、そんな理解を紙のように吹き飛ばす。これは過去だ、ただの夢だと自分に言い聞かせるが、彼の壮絶な死に様はそんな逃避を許してはくれなかった。ルイズはギアッチョの名を、まるで壊れた蓄音機のように何度も何度も叫び続けた。 そして場面は、次へ進む。 ――・・・・・・・・え・・・? その異変に、ルイズは思わず我に返る。これはギアッチョの夢のはずだ。ならばどうして先がある?どうして、この夢は新しい風景を映し出す・・・? そうか、とルイズは思った。そもそも途中からおかしかったのだ。ギアッチョが知るはずのない光景を見ていたことが。 ギアッチョ自身の死に様を、遠くから見つめていたことが。誰かの意図なのか、それともこれは何かの奇跡なのか? そんなルイズの思案をよそに、眼前の過去は展開していく。 遠くに館と海の見える岩場。そこにいたのは、やはり彼だった。 ――・・・・・・そ・・・んな・・・・・・リゾット・・・ リゾットは血まみれで倒れている。傍目から見ても、治癒は絶望的だった。 そんな彼の傍らに腰を落とし、一人の男が彼を見下ろしている。 リゾットはもはや焦点の定まらない眼で男を見返していた。 「ついに・・・オレ・・・は・・・ つか・・・んだ・・・・・・ あんたの正体を・・・オレは・・・」 正体。彼らがこの言葉を使う時、それはとりもなおさずボスのことを意味する。 リゾットは今、「あんたの正体」と言った。つまり彼を見下ろすこの男こそが、他でもないボス自身・・・!男・・・いや、もはやボスと言うべきか。 ボスは今ルイズに背中を向けている。後ろから見る限りその身体には傷一つついていないが、異常なまでに苦しげな呼吸をし続けていることから察するとリゾットとの戦いでボスもまた相当なダメージを負ったと考えていいはずだ。 「最期に顔を・・・見せ てくれ・・・ 逆光で よく・・・見えない 顔を・・・」 片膝をついて荒い呼吸を繰り返すボスにリゾットがそう懇願するが、 「それ以上・・・・・・ここでその会話をすることは許さない・・・リゾット・ネエロ」 彼はそれを冷たく跳ね除けた。片手に持っていたリゾットの足首を投げ捨てて、ボスは苦しげに呼吸を続ける。 「おまえは自分がここまでやれたことを 暗殺チームのリーダーとして、『誇り』にして死んでいくべきだ・・・ あの世でおまえの部下達も納得することだろう」 そう言ってから、ボスは自分の身体から奪った「鉄分」を戻せば潔くとどめを刺してやろうとリゾットに取引を持ちかけた。 もうすぐここにギアッチョ達を殺した連中がやってくる。そいつらの前で次第に惨めに死んでいくのは屈辱的ではないか?今ならこのボスが直々に名誉ある死を与えてやろう。 そんなボスの交渉に、リゾットは聞き取れない声で何かを呟く。 「よく聞こえないぞ・・・・・・ すぐに『鉄分』を戻すのだ・・・リゾット・ネエロ」 ぼそぼそと何かを呟き続けるリゾットの口に、ボスが耳を近づける。 「ひとりでは・・・ 死なねえっ・・・・・・ 言ったんだ・・・」 その言葉に、ボスはバッとリゾットの顔に眼を向け、そして彼の決死の『覚悟』を秘めた赤眼にようやく気付いた。 「今度はオレが・・・利用する番だ 『エアロスミス』を・・・ くらえ・・・・・・!!」 リゾットがそう言うと同時に、ボスの後ろから無数の弾丸が発射された。 ホルマジオの命を奪ったスタンド――エアロスミスだった。 しかし、一瞬の後に全身から鮮血を吹き出したのは、ボスではなくリゾットだった。 最期の一瞬、彼は何を考えていたのだろう。真っ赤に充血したその眼からは、もはやいかなる感情も読み取ることは出来ない。リゾットは被弾の衝撃にガクンと身体を震わせると、一言も発することなく息絶えた。 ――・・・そんな・・・・・・・・・そんな・・・! どうしてエアロスミスとリゾットを結ぶ射線上にいるボスが無傷なのか?どうしてエアロスミスがボスを撃ったのか?そんなことはどうでもよかった。ルイズの心を埋め尽くした事実はたった一つ。リゾットが死んだ。それだけだった。 あの穏やかなリーダーが、冷徹な表情の下で何よりも仲間のことを大切に考えていたリゾットが、死んだ。チームの最後の一人が――殺された。彼のチームは、消えてなくなった。 ――・・・・・・こんな・・・ことって・・・・・・!! 絶望に打ち震えるルイズをよそに、世界は白く染まり始める。白いインクを垂らした ように始まった白化は加速度的に進行し、 「しかし・・・くそ・・・ みごとだ リゾット・ネエロ・・・・・・・・・」 一人呟くボスの声を最後に、ルイズの夢は完全に白に閉ざされた。 「いやぁああぁああああああああッ!!!」 自分自身の悲鳴で、ルイズは跳ね起きた。 「・・・ぁあっ・・・!・・・っはぁ・・・はぁ・・・ッ!」 窓の外は、未だ双月が輝いていた。窓から差し込む月の光を眺めながら、 ルイズは徐々に今まで見ていた夢の事を思い出してゆく。 そうだ。 心地のいい夢だった。 ギアッチョと仲間達の思い出。いつまでも見ていたかった思い出・・・。 だけどジェラートが死んで、ソルベが死んで・・・ギアッチョ達が反逆して。 そして、死んだ。 全員死んだ。 リゾットのチームは、全滅した。 「・・・・・・全滅・・・した・・・・・・」 ルイズの口から、我知らずその言葉がこぼれ出た。そしてそれと同時に、彼女の鳶色の瞳からはぼろぼろと涙が溢れてくる。 「・・・うっ・・・うう・・・・・・!・・・こんなの・・・・うっく・・・・・・こんなの酷すぎる・・・!」 ルイズは肩を震わせて泣いている。ルイズが彼らを知ったのはほんの数時間前のことだ。だがその数時間で、ルイズは彼らと無数の喜怒哀楽を 共有した。もはやルイズにとって、彼らはただの他人などでは断じてない。 だからこそ、彼らの死はルイズに果てしない痛みを負わせた。 ふっと部屋が明るくなる。それに気付いたルイズが顔を上げると、ギアッチョがランプをいじっていた。ルイズの視線に答えるように、彼はルイズに眼を向ける。 「・・・『見た』・・・みてーだな ルイズ・・・てめーも」 夢を共有していたわけか、とギアッチョは呟いた。もはやこの程度のことで、彼は驚かないようになっていた。 「っ・・・・・・どうして・・・っく・・・そんなに・・・冷静でいられるの・・・?」 涙のせいで何度もしゃくりあげながら、ルイズはギアッチョを見る。 「・・・っく・・・ひっく・・・・・・ こんなのってない・・・!」 何か言葉を出す度に、ルイズの涙は量を増してこぼれ続けた。 「・・・っう・・・どうして・・・こんな酷い死に方をしなきゃならなかったの・・・!?」 プライドも忘れて泣きじゃくる彼女に、ギアッチョは冷たく言葉を返す。 「人殺しにゃあ似合いの末路だ」 ゆっくりとルイズに近づくと、ギアッチョは彼女を見下ろして続けた。 「マトモに死ねる奴のほうが珍しい・・・オレらの世界ではな」 ギアッチョは達観したかのような物言いをするが、そんな世界などとは勿論無縁に生きてきたルイズに彼らの死を同じように受け入れられるはずもない。 彼らの名誉一つない惨めな死を、納得出来るはずもない。 「そんなのっ・・・ ・・・うっく・・・そんなのおかしいわ・・・!」 ルイズはぶんぶんと首を振る。彼女の頬を伝う涙が、雫となって宙を舞った。 ギアッチョはほんのわずか――長く付き合った者にしか分からない程に―― そして一瞬だけ、困惑したような表情を見せる。それからがしがしと頭を掻くと、ギアッチョはルイズのベッドに腰掛けた。 「・・・ソルベとジェラートは・・・違う」 「・・・・・・違う・・・?」 何が、という部分を省いたギアッチョの言葉に、ルイズは当然疑問を感じる。 ギアッチョはまるで独白するような調子でそれに答えた。 「あいつらは・・・恐らく何も知らないままに 一方的に虐殺された・・・ だがオレ達他のメンバーは違う 真正面から奴らに挑み、力の全てを出し切って戦い、そして死んだ」 ま・・・一部情けない死に様を晒したバカもいたみてーだが、とそこだけ呆れたような口調で言ってから、ギアッチョは真面目な顔に戻って続ける。 「・・・だからオレはあいつらの死を受け入れる オレが嘆き悲しむことは、あいつらの誇りを侮辱することに他ならねーんだ」 ルイズに背中を向けたまま、ギアッチョは言葉を繋いだ。 「他の誰が嘲笑おうと――オレはあいつらの死を誇りに思う」 ギアッチョの言葉はまるで折れることの無い名剣のように、ルイズの心に真っ直ぐに、そして鋭く突き刺さった。 自分は結局、彼らのことなど何も分かっていなかったのだろうか?そう思うとルイズの心は割れんばかりに痛みはじめる。 「・・・だがよォー」 ぽつりと、ギアッチョは呟くように口を開いた。 「ルイズ・・・てめーはそれでいい てめーは泣いてやってくれ」 その言葉に、ルイズははっとギアッチョの背中を見つめる。 「全く救いようのねー人殺し共だがよ・・・ 自分の為に流される涙が一粒でもあるなら人生御の字じゃあねーか」 その言葉に、ルイズの乾きかけた瞳は再び涙を溢れ出させた。 「・・・・・・うん・・・・・・うん・・・・・・っ!」 ルイズは立てた両膝に顔をうずめて泣いた。どうして気付かなかったんだろう。 ギアッチョはこんなにも彼らのことを想っているじゃないか・・・。 ルイズは声を押し殺すのをやめた。彼らの名誉を守り続けるギアッチョの後ろで、彼らの魂の為に、そして何よりギアッチョの為に、ルイズは声を上げて泣いた。
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星屑「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」 DIO「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ!」 不死の「騒がしいな…ドッピォ、そこのお菓子取ってくれ」 ギアッチョ「無駄ってのは分かる…言葉になってるからな、だけどよぉ、オラって何なんだよオラってよぉ~!どういう意味なんだ馬鹿にしてんのかクソッ!クソッ!」 絶頂の「はい、ボス、どうぞ…なんかこうやってボスと直接話せるなんて…僕、嬉しいです」 ペッシ「あっ、兄貴ぃー、いきなり召喚されてキスされて、俺あんな女の子にキスされちまって、押し倒してやろうかと思ったんですけど」 変態「オメーよぉ!押し倒してやろうだなんて甘ったれた事言ってんじゃねえ!押し倒したなら使ってもいい!」 兄貴「テメーペッシに何教えてんだこのゲス野郎!」 リゾット「よせ…メローネは天然だ。今はチームが再会できただけでもよしとしよう…これからの事も考えなければな」 偉大な「リゾット、俺が二人いるなら二倍の速度で連中を老化できると思うが、いつやる?」 本気男「ギアッチョが暴走してたら意味ねーぜ」 鮫「いい女が居たってのになあー、男だらけで集まってても楽しくねえぜ!女はもっと召喚されてないのか?」 刺激的「あんた達の主人はルイズなの?」 三色コロネ「ええ、まあマリコルヌさんは変態ですが悪い人ではなさそうですよ」 一味違う「ルイズにも困ったものね、あの貴族主義がなければ上手くやってけそうなのに」 鎮魂歌「召喚された以上は仕方あるまい、それにしても、まさかおまえと再会できるとは思ってなかったな」 マジシャンズ「ああ、順当に年を重ねられたようで、何よりだよ」 ポルポル「ちょっと待てよ!俺将来そんな目に遭うのかよ!?」 DIO「オストラント号だッ!脱出不可能よオーッ!」 星屑「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!」 亜空「DIO様ァーッ!助太刀致します!…む、この犬は!」 愚者「助けに来たぜ承太郎!そこのブリーフ野郎、今度こそぶっ殺してやる!」 龍夢「イヤァ~、俺ヲ見エル奴ラガ揃ッテテ嬉シイナァ~」 徐倫「親父の若い頃って、私より不良じゃない…」 ヘビー「お父さんに似たな、アレじゃアナスイも苦労しそうだ」 鉄塔「…」 承太郎DISC「…」 石仮面「…」
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第三章 誇りを賭けた戦い ルイズの暴走による被害は意外にも大したことはなかった。 中庭が広かったことと、ルイズ自身が頭に血が上らせていたため、爆発の狙いが正確でなかったことが幸いした。 しかし、リゾットは困っていた。 「三日間、食事抜き!! 自分の立場をよく考えなさい!」 あの後、理性を取り戻したルイズはリゾットに指を突きつけ、そういったのだ。 リゾットは勘違いを解こうとしたが、今のルイズに何を言っても火に油を注ぐだけだと思い、やめた。 とはいえ、流石のリゾットも三日間もの絶食は辛い。 「仕方ない……。やはり自分で確保するしかない……か」 リゾットは考えた末の結論を出すと、中庭から歩き出した。 まずは惨事の元凶となった洗濯板を探し出し、次に食事を確保するために。 厨房の位置は食堂で給仕する召使いたちの出入りから予め検討をつけていた。 リゾットが元いた世界ですら、金持ちの屋敷には使用人が住み込んでいた。 ましてこの中世的価値観のこの世界において、住み込みの使用人がいないはずはない。 このリゾットの読みは当っており、程なくして彼らの洗濯場らしき場所に出た。 目当ての洗濯板、そして桶は井戸端にあった。しかし周囲に人がいない。 無断で借りると面倒になるかもしれない。人影を求めて建物の角を曲がる。 その瞬間、空を巨大な影がよぎり、リゾットは空を見上げた。一匹のドラゴン(?)が学院へと飛んでいく。 (あれも…誰かの使い魔か?) ドラゴンの背中に人影があったことからそう推測するのと、軽い衝撃を感じるのは同時だった。 「キャッ!?」 小さな悲鳴が上がり、何かが空を舞う。それが何枚かの皿だと認識すると同時にリゾットは手を伸ばし、残らず空中でキャッチする。 足元を見ると、メイドの格好をした少女が使用済みらしい皿の入ったタライを抱えて座り込んでいた。 「すまない…。余所見していた……。大丈夫か?」 皿をタライの上におき、少女に手を貸して立たせてやる。 「あ、ありがとうございます。私も余所見していて……ごめんなさい…」 どうやらこの少女も空を飛ぶ竜に気をとられていたようだ。立ち上がった少女はリゾットの左手のルーンに気づいた。 「あら…?貴方、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう…」 「リゾットだ。……突然で申し訳ないが……、あちらの洗濯の道具一式を借りる許可をもらいたい。それと……厨房の責任者に会わせてもらえないか?」 シエスタというメイドの少女の案内で、リゾットは厨房に向かっていた。 (なお、彼女が運んでいた使用済みの皿は水につけて洗い場においてきた) その道すがら聞いた所では、やはり彼女たちは学院に住み込みで働いているらしい。 召喚で呼び出された平民の使い魔の噂はすでに彼らに届いているという。 (閉鎖された環境では情報の伝播速度が速い…ということか) そんなことを考えている間に、厨房に着いた。 コック長のマルトーに会うと、リゾットは事の次第を説明した。 「つまり、お前さんはその貴族の使い魔だが、勘違いで食事を抜かれることになったわけか」 「彼女が全面的に悪いわけではないが、大筋ではそうなる…」 「まあ、かわいそう…」 「け! 勝手に人を使い魔にしてこき使っておいて、何が罰だ! 魔法を使えば何をしてもいいってのかよ!」 二人は大いにリゾットに同情したようだった。特にマルトーは貴族嫌いらしく、怒りが覚めやらぬ様子だった。 「ならリゾットさん、食事が抜かれたときはいつでも来て下さいな。私たちが食べているものでよかったら、お出ししますから」 「いや……ただで食事をもらうわけにはいかない……。俺に何かできることがあれば言ってくれ…。手伝おう」 「そんなのいいんだよ。どうせたくさん作るんだから、一人くらい増えたって大したことぁない」 リゾットは首を振った。リゾットとて、この世界にきて初めてまともな人間に出会え、親切にしてもらったことに喜びを感じないわけではない。 しかし、ただで施しを受けるのはリゾットの考えに反する。使い魔の仕事に差し障りがない程度であるが、彼女たちの手伝いをするつもりだった。 「やれやれ、融通の効かない奴だな…。まあ、悪くはないが」 マルトーはあきれながらもリゾットに好感を抱いたようだった。 「でしたら、デザートを運ぶのを手伝ってくださいな」 シエスタの提案にリゾットは頷いた。 そんなわけで、リゾットは今、片手にケーキの並んだ銀のトレイを持ち、使用人の制服を着て食堂に出ていた。 ケーキを貴族たちに配るシエスタについて回る間、貴族たちは誰もリゾットがルイズの使い魔だと気づかなかった。 リゾットは使用人の制服を着ていたし、元々彼らは使用人など見ていないのだ。二人は特に問題なく、貴族を順々に回っていった。 金色の巻き髪に造花の薔薇をフリルのついたシャツのポケットに刺した貴族がいた。プロシュートの言葉を借りれば如何にも「マンモーニ」である。 周囲の友人たちは今、そいつが誰と付き合っているか、というような話に花を咲かせている。 世界は変わっても人間の興味関心の向く先はあまり変わりないらしい。 二人がその集団に近づいていくと件のマンモーニのポケットから香水の入った小瓶が転がり出た。 「シエスタ、少し待ってくれ」 断ると、リゾットは屈みこんでそれを拾った。もしもこの場にいるのが女性関係の機転が利くメローネならば、揉め事を起こさずに済ませたかもしれない。 だが、ここにいるのは不幸にもリゾットである。あまり深く考えず、小瓶を落とし主に突き出した。 「落としたぞ」 「ん? 何だい、それは。僕のじゃあないよ」 「お前のポケットから落ちた。…お前のだろう?」 その途中、周囲が何事かと覗き込んできた。 「おや? それはもしや、モンモランシーの作っている香水じゃないか?」 「ああ、この特徴的な色合いは間違いないな。彼女が自分のために調合している香水だ」 「つまりギーシュは、今、モンモランシーと付き合っているのか」 「違う。いいかい、彼女の名誉のために言っておくが…」 その男…ギーシュというらしい…が何か言いかけたとき、近くの席から茶色のマントをつけた少女が立ち上がり、ギーシュの席にやってきた。 「け、ケティ……。違うんだ、これは…」 ギーシュがケティと呼んだ少女はポロポロと涙を流すと、弁解をしようとしたギーシュの頬を思いっきりひっぱたいた。 続いて巻き毛の少女が立ち上がる。リゾットは彼女を覚えていた。午前中、教室でルイズと言いあいをした一人で、香水のモンモランシーだ。 どうやら彼女がもう一人のギーシュの相手らしい。彼女もまたギーシュの席にやってくると、ギーシュの非を責め、ワインの瓶の中身をギーシュの頭からぶちまけた。 「嘘つき! 二度と顔を見せないで!」 極めつけの絶縁宣言をして去っていく。 沈黙が流れる中、リゾットは何事もなかったように仕事に戻ろうとしたが、呼び止められた。 「どうしてくれるんだ? 君のせいで二人のレディの名誉に傷がついたんだぞ!」 ギーシュはほとんど言いがかりのようなことを言ってきたが、リゾットは無視した。 元の世界にいた時からこういった手合いは無視することに決めているのだ。 「おい、聞いてるのか!」 しかし、あまりにうるさく騒ぐのに根を上げ、リゾットは振り返った。 「君は確かミス・ヴァリエール…の…」 特に威圧したわけではないが、長年修羅場をくぐってきたリゾットの視線にギーシュは一瞬ひるんでしまう。 「騒ぐな…。もうお前などどうでもいい。さっさと先の二人に謝って来るんだな…。二股かけて申し訳ない……とな」 その言葉に周囲から失笑が漏れる。侮辱されていることに慣れていないのか、ギーシュは怒りで顔を歪めた。 「ミス・ヴァリエールは自分の使い魔に躾もできないみたいだな…。いい機会だ。僕が貴族に対する礼ぎゃぶっ!?」 ギーシュは最後まで言い切ることはできなかった。リゾットが無言でギーシュの頬を殴りつけたからだ。 「な、何をするだあー! 許ざっ!?」 今度は鳩尾を膝で蹴り上げられ、ギーシュがうずくまる。リゾットはそんなギーシュの首を右手で掴むと、そのまま吊るし上げた。 ちなみに攻撃を加えている間もリゾットが左手に持ったトレイのデザートはぴたりとも揺らがない。見事なバランス感覚である。 この頃になると流石に周囲も騒然となり始めた。だが、静かに怒りを見せるリゾットに、誰も間に入ることが出来ない。 「二股をかけるのはお前の勝手だ。お前の倫理観でやってることだからな…」 首への圧迫を強めながら、口をパクパクさせるギーシュを見据える。 「だが、その結果を他人に押し付けるってのはどういうことだ? 自分のしたことの責任をとる覚悟くらいはしろ、このカスが! しかもその表情…自分の責任を理解しつつ、それを被るのをビビッて、他人に責任を押し付けようとしている。 貴族だの平民だの言う前に人間としての誇りがないのか、お前は? 俺に怒りを向ける暇があったら謝罪して来い!」 冷たく言い放ち、ギーシュを突き飛ばした。 「…ぐ、はっ…」 しばらくギーシュは荒い息をついていたが、すくっと立ち上がる。 「もう許さない…。たかが平民の癖に貴族に手をあげるなんて……」 そう言いつつもリゾットからはなるべく距離をおくように後退している。それをリゾットは冷めた眼で見ていた。 「……俺の仲間にもマンモーニがいたが、奴はそれでも過ちを認め、成長しようと努力していた。……お前はそのマンモーニ以下だな」 「マンモーニ?」 「乳離れもできないような甘ったれたガキ…ってことだ。お前はそれ以下だ」 「ぼ、僕が平民の、それも子供以下だって? 訂正しろ!」 「貴族だろうがメイジだろうが威張っているだけの能無しを俺の仲間より上だと言うわけにはいかないな……。いや、例えお前が誰より有能な人間だったとしても精神面ではそいつ以下だ」 ギーシュはあまりの屈辱、そして痛めつけられた恐怖に震える手で、手袋を投げつけた。 「決闘だ! 訂正するまで痛めつけてやる!」 リゾットは呆れ返り、もはやかける言葉さえないと、『メタリカ』を発動した。 ギーシュの口から剃刀が出現し、舌をずたずたに切り裂く。 「僕は君のように野蛮ではないから食堂を血で汚したりはしない! 用が済んだら広場に来たまえ!」 ギーシュは言い捨てると、ふらふらしながら外へ出て行った。もちろん、剃刀を吐き出してもいない。 「…………」 リゾットはそれを見送り、観葉植物の植えてある土から『メタリカ』でナイフを生成しようとする。 しかしやはり何も起きない。そういえば、『メタリカ』を発現している時に聞こえるあのうめき声も聞こえない。 「スタンド能力を失っている……」 リゾットの呟きは奇妙な納得と確信を持って、ゆっくりと自身の胸に染み込んで行った。
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星屑「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」 DIO「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ!」 不死の「騒がしいな…ドッピォ、そこのお菓子取ってくれ」 ギアッチョ「無駄ってのは分かる…言葉になってるからな、だけどよぉ、オラって何なんだよオラってよぉ~!どういう意味なんだ馬鹿にしてんのかクソッ!クソッ!」 絶頂の「はい、ボス、どうぞ…なんかこうやってボスと直接話せるなんて…僕、嬉しいです」 ペッシ「あっ、兄貴ぃー、いきなり召喚されてキスされて、俺あんな女の子にキスされちまって、押し倒してやろうかと思ったんですけど」 変態「オメーよぉ!押し倒してやろうだなんて甘ったれた事言ってんじゃねえ!押し倒したなら使ってもいい!」 兄貴「テメーペッシに何教えてんだこのゲス野郎!」 リゾット「よせ…メローネは天然だ。今はチームが再会できただけでもよしとしよう…これからの事も考えなければな」 偉大な「リゾット、俺が二人いるなら二倍の速度で連中を老化できると思うが、いつやる?」 本気男「ギアッチョが暴走してたら意味ねーぜ」 鮫「いい女が居たってのになあー、男だらけで集まってても楽しくねえぜ!女はもっと召喚されてないのか?」 刺激的「あんた達の主人はルイズなの?」 三色コロネ「ええ、まあマリコルヌさんは変態ですが悪い人ではなさそうですよ」 一味違う「ルイズにも困ったものね、あの貴族主義がなければ上手くやってけそうなのに」 鎮魂歌「召喚された以上は仕方あるまい、それにしても、まさかおまえと再会できるとは思ってなかったな」 マジシャンズ「ああ、順当に年を重ねられたようで、何よりだよ」 ポルポル「ちょっと待てよ!俺将来そんな目に遭うのかよ!?」 DIO「オストラント号だッ!脱出不可能よオーッ!」 星屑「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!」 亜空「DIO様ァーッ!助太刀致します!…む、この犬は!」 愚者「助けに来たぜ承太郎!そこのブリーフ野郎、今度こそぶっ殺してやる!」 龍夢「イヤァ~、俺ヲ見エル奴ラガ揃ッテテ嬉シイナァ~」 徐倫「親父の若い頃って、私より不良じゃない…」 ヘビー「お父さんに似たな、アレじゃアナスイも苦労しそうだ」 鉄塔「…」 承太郎DISC「…」 石仮面「…」
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第二章 乱心の『ゼロ』 朝、リゾットは日の出と共に眼を覚ました。 普段は3時間も眠れば十分なはずだが、やはり疲れていたらしい。 (毎日同じ服を着ているわけにもいかない…。服を調達しなければな…) そう考えつつ鏡の前で自前の櫛と小さな手鏡を取り出し、身だしなみを整え、細かいチェックをする。 暗殺者というと身なりにかまわないイメージがあるかもしれないが、リゾットは違う。 暗殺者だからこそ常に自分の状態に気を配る必要があると考えていた。 ボスとの戦いで受けた傷は傷跡すら残さず消えていた。 ルイズに召喚された影響なのだろう。他に理由として考えられることがない。 リゾットが身支度する間、ルイズはずっと平和そうに寝ていた。 前夜、朝になったら起こせと言われたことを思い出し、リゾットは声をかける。 ルイズは寝ぼけていたらしく、一瞬リゾットを思い出せなかったらしいが、何とか思い出した。 「服と下着…」 要求に従って下着と制服を出してやる。 「着替えを手伝いなさい」 「……」 返事がないのでルイズがリゾットを見返すと……不審そうな顔をしていた。 具体的に言えば、「何を言ってるんだ、コイツは?」と顔に書いてあった。 「着替えを手伝いなさいったら。早くしなさい、愚図ね!」 「イカレてるのか…? こんな朝から」 「口の利き方に気をつけなさいといってるでしょう!」 聞くなりルイズはリゾットを殴ろうとしたが、上体をわずかにそらしてかわされた。 「着替えくらい、一人で出来るだろう」 「貴族は従者がいるときは一人で着替えたりはしないのよ!」 「自分の面倒も見れないのが貴族なのか」 ルイズがまた怒りで顔を赤くした。これ以上ないほど表情の読みやすいタイプだ。 「いいから手伝いなさい! さもないと食事抜くわよ!」 無一文のリゾットが雇い主のルイズに食事を抜かれるとなると金か食事を盗むしかなくなる。 なるべく波風立てずに恩を返して自由になりたいリゾットとしては、それは困った。 「分かった。手伝ってやる…。しかし……恥ずかしくないのか?」 「はぁ? なんで使い魔に恥ずかしがらなきゃいけないのよ。…ほら、さっさとしなさい」 「他人に服を着せるのは慣れてないんだ。少し待て……。まったく…手がかかる」 (元々人権には縁遠そうな世界のようだが、この分だと人間扱いされないのだろうな) リゾットの推測はこの後、すぐに実証された。 『アルヴィーズの食堂』に到着すると、三列の食卓には富豪もかくやという豪華な飾りつけがされており、その上には豪勢な食事が並んでいた。 「毎朝こんなところで、こんな豪華な食事をしているのか?」 「毎食よ。それに、礼儀作法の勉強でもあるの。この学院は魔法だけじゃなく、貴族たるべき教育全般をするのよ」 支配階級の贅沢振りに呆れながらも椅子を引き、ルイズを座らせてやる。 隣の席に着こうとしたリゾットは、ルイズに押しとどめられた。 「あんたはあっち」 ルイズの指し示す方を見ると、床の上に粗末なスープと硬そうなパンが置いてあった。 「……あれが…俺の食事か?」 「当然でしょ。使い魔が主人と同じものを食べられるとでも思ったの? 使い魔は外で食事をするところを『私が』、『特別に』中で食べさせてあげるんだから、感謝しなさい」 ルイズが恩着せがましく言う。どうやらこれも使い魔に対する教育の一環らしい。 仮にも暗殺チームのリーダーという管理職に就いていた以上、リゾットとて人を動かす機微は知っているつもりだ。 その中でも『働きに見合った報酬を渡す』というのは最重要といってもいい。 リゾットのチームが反逆した原因の一つもそれなのだから。 だが、昨日からの扱いを見る限り、この世界の貴族たちはそんな思考はないらしい。 「……この世界の封建制が革命で崩壊する日も近いな……」 腹立ちを恩義で抑えつつ、リゾットは床に座るのだった。 朝食後、ルイズとリゾットは教室に入った。 大学の講堂のような教室には、たくさんの生徒が様々な使い魔を引き連れていた。 だが、使い魔が人間というのはルイズだけのようで、ルイズはそれをネタに散々揶揄されていた。 ルイズはいちいちそれに言い返す。リゾットに対する嘲笑も含まれているのだが、リゾットは無視していた。 いちいちアホに構っていられないからであるが、それでも貴族の差別意識はうんざりした。 気を紛らわすために雇い主の観察をする。 同じ侮辱でも言われた内容と相手によって怒りの度合いが違うのが実に面白い。 特にルイズは自分の(主に胸の)発育不良と『ゼロ』というあだ名について気にしているようで、 キュルケという赤毛の女にそれについて馬鹿にされた時は怒りの頂点に達したようだった。 「もう許さない…。ツェルプストー、今日こそ決着をつけてあげる!」 「これ以上恥を上塗りするのはよしたほうがいいんじゃない? ただでさえ、貴方は魔法も色気も『ゼロ』なのに」 お互い火花を散らしているところで、リゾットはルイズの袖を引いた。 「何よ! 邪魔しないで!」 「教員が来た。……座ったほうがいい」 入ってきた女性教員が咳払いをする。 ルイズはまだ腹に据えかねるようで、キュルケと最後に視線の火花を散らせるとしぶしぶ座った。 リゾットも席に座ろうとするとルイズが睨み付けてきたので、黙って階段に腰を下ろす。 「皆さん、春の使い魔召還は大成功のようですね。このシュヴルーズ、みなさんの使い魔を見るのを毎年、楽しみにしているのですよ」 そして教室を見渡すと、リゾットに眼をとめた。 「おやおや、また変わった使い魔を召喚したようですね、ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズのとぼけた声に、教室中から忍び笑いがもれる。 「だって『ゼロ』だし。召喚が成功したのか怪しいもんだ。その辺の平民引っ張ってきたんじゃないか?」 誰かがそういうと、忍び笑いは大笑いに変わった。 「いい加減なことをいわないで、かぜっぴきのマリコルヌ!」 「誰がかぜっぴきだ! 俺は風上のマリコルヌだ!」 シュヴルーズが頭を押さえながら杖を振ると、二人がすとん、と座った。 (便利なものだな…) 二人に説教をし、さらに笑う生徒の口を赤土で塞ぐシュヴルーズを見ながら、リゾットは感心していた。 そして授業が始まった。 リゾットは静かに講義を聞いていた。聞いているだけでも色々なことがわかる。 魔法には土、水、火、風、虚無の五つの属性があり、メイジはそのうち一つは必ず使えること。 虚無の属性の使い手は失われていること。いくつ属性を使えるかによって四階級が存在するらしいこと。 メイジにはみな、それぞれ二つ名のようなものがついていること。 スタンドとは違い、一つの属性でも様々なことができるらしいこと。 講義が進むと、いよいよ実践になり、シュヴルーズという女教師がただの石を真鍮に変化させていた。 リゾットがあまりに真剣に見ているので、ルイズが話しかけてきた。 「そんなに面白いの?」 「興味はある……。魔法がどういうものかという好奇心はな……」 答えてから、ふと浮かんだ疑問を口にする。 「メイジの二つ名はやはり使う属性から決まるのか?」 「そうよ。ミセス・シュヴルーズは『赤土』で土、マリコルヌは『風上』で風」 「なるほど…。聞けば分かるってわけか……。ではルイズ、お前の『ゼロ』は?」 「それは……」 「ミス・ヴァリエール! 使い魔と語らうのもいいですが、今は授業中です!」 シュヴルーズからの叱責がとぶ。 「は、はい。すいません…」 「授業を聞いていましたか? お喋りするほど余裕があるのなら、この『錬金』は貴方にやってもらいましょう」 そういった途端、教室中の生徒がびくっと反応した。そして続々と反対意見が挙がる。 「先生、やめといた方がいいと思いますけど」 「そうです。無茶です、先生!」 「『ゼロ』に魔法を使わせるなんて!」 「ルイズの魔法の失敗率は世界一ィィィィッ! できるはずがないィィィィィッ!」 シュヴルーズは何をそんなに反対するのか分からない。 「失敗を恐れていては進歩はありません。さあ、ミス・ヴァリエール。やってごらんなさい」 ルイズが意を決したように教壇へ向かっていくと、ある者は机の下に隠れ、ある者は教室から逃げるように出て行く。 わけが分からず、リゾットが観察していると、ルイズは一心に杖を掲げ、呪文を唱えた。 次の瞬間、ただの石が爆発を起こした。 結局、ルイズは爆発によって吹き飛んだものを魔法を使わずに片付けられることを命じられた。 「つまり……お前は魔法成功率『ゼロ』のルイズ……ということか」 「黙りなさい!」 石の破片を投げてくる。リゾットが石を掴んで塵取りに捨てると、また石が飛んできたので、これも掴む。 「気落ちするな。俺の召喚には成功したじゃないか。……仮に爆発しかできないとしても、要は頭の使い様だ」 くだらねー能力と仲間に言われ続けても自信を持ち続けたホルマジオを思い出す。 「うるさいわね! 元々魔法が使えない平民のあんたなんかに私の気持ちは分からないわよ!」 「じゃあ、いつまでもそうやって不貞腐れてるわけか? 失敗したことは仕方ないだろう。……不貞腐れる暇があったらお前も掃除をしろ」 「何で私が掃除するのよ。主人の罪は使い魔の罪。貴方がやりなさい」 リゾットはそのスタンド能力(持続力:A)に反映されているように我慢強い。 何しろあの癖の強い暗殺チームのリーダーだったのだ。ギアッチョなどはキレやすいため、普通に会話するのもかなりの根気を要した。 どんな性格や思想だろうとやるべきことをやって成果を出せば評価するし、それなりにうまく付き合う。 だが、反面、責任を果たさず、成果も出さないくせに威張り散らす人間は我慢ならなかった。 そういった意味で、今、ルイズはリゾットの地雷を踏んだ。 「つまり……自分に罪はあるが、俺に押し付けるからいい……。そういうことだな?」 リゾットの視線が強く、鋭くなっていく。 「お前は俺の恩人だ…。だから命令されれば従う……。部屋の掃除もしよう。洗濯もしよう。食事が貧しくても耐えよう。だがな…」 ルイズの右腕を掴む。その意外な力強さにルイズは思わず一歩引こうとしたが、動けない。リゾットの暗黒を映したような眼が近づく。 「な、何よ…? 使い魔の癖に」 「自分のやったことくらい、自分の手も汚せ! どこまで甘ったれるつもりだ!」 「わ、分かった…。やるわ…。そんなに怒らなくたって……」 途端に、リゾットは離れた。そのまま無言で片付けを再開する。 ルイズは思わず座り込んだ。大人しい使い魔の恐ろしい一面を目の当たりにして、立っていられなかったのだ。 放心していたが、しばらくすると屈辱が沸いてきた。 「な、何よ。何よ……。平民の癖に……! 使い魔の癖に……!」 ブツブツいいながらも、机を拭き始めた。その後、昼食が終わるまで、二人は一言も口を利かなかった。 昼食後、リゾットは部屋の掃除を済ませ、洗濯をしようとしていた。しかし、一つの問題に気づく。 (どうやって洗濯したものかな…) 洗濯や掃除はできる。ただし、それは洗濯機や掃除機といった文明の利器があってこそだ。 掃除はごみを拾って捨てたり、箒で掃いたり、雑巾がけをしたりすればいいのは分かるが、 洗濯の方は洗濯板を使うといっても洗剤の分量や気をつけるべき生地まではとても知らない。 第一、洗濯板も洗剤もここにはない。洗剤に至ってはこの世界にあるのかどうかも分からない。 (ルイズに聞いてみるか…) 先の件など忘れたように、リゾットは自分の雇い主を探しにいくのだった。 一方、ルイズは中庭で気落ちしていた。 リゾットは最初、自分を慰めようとしてくれていたのだ。それを八つ当たりしてしまった。 それに、リゾットがルイズに信頼も忠誠も抱いていないのが気にかかった。 そぶりを見ていれば分かる。命令に従ってはいるが、それは「仕方なく」やっているだけで、本心から仕えているのではないことが。 使い魔に信頼されない主人など笑い話にもならない。メイジ失格だ。 (うん、決めた。とりあえずさっきの件は水に流そう) まだくすぶり続けるリゾットに対する理不尽な怒りはぐっと抑え、そう決める。 謝るということも考えたが、それは貴族たることに拘るルイズにはどうしてもできなかった。 そこにリゾットがやってきた。 (冷静に、冷静に) 言い聞かせながら使い魔の到着を待つ。やってきたリゾットは開口一番、こう言った。 「ルイズ、洗濯板はどこだ?」 その一言を聞いた途端、ルイズの全身が硬直した。 「……な、なんですって!?」 しばらくして聞き返してくる。気のせいか声が震えていた。 「だから、洗濯板はどこにある?」 リゾットは再度同じ問いをし、硬直しているルイズを見て原因に気づき、一言付け加えた。 「誤解してるなら言っておくが、お前の胸の話じゃあない」 プッツーーーン!! 元々怒りがくすぶっていた時でもある。『洗濯板』、そして『胸』。 自分のコンプレックスを想起させるそれら『単語』を聞いた瞬間、ルイズの自制心は月まで吹っ飛んだ。 「こ…ここここ、この…馬鹿使い魔ーーー!!」 叫びとともに最短・最小の詠唱・動作で杖を振り…リゾットとルイズの間の空間が爆発した! 爆発によって自らも地面に投げ出されたルイズだが、すぐさま跳ね起きる。 「どこに逃げたの!? 出てきなさい! 馬鹿使い魔!」 続けざまに魔法を唱え、次々爆発が起きる。逆上の余り、目は開いていても見えていない。 それを見ながら、ルイズと逆方向の茂みに投げ出されたリゾットが呟く。 「破壊力B…くらいはあるか………。これだけやれれば十分じゃないか…」 「どこよ! どこに隠れたのよ、このイカ墨!!」 ルイズが理性を取り戻すのはこの十分後である。